日本映画

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彼岸花(昭和33年)

前年の『東京暮色』までずっとモノクロしか撮っていなかった小津監督による初めてのカラー作品。小津安二郎はトーキーが出てきたときも、サイレントにこだわってなかなか音に手を出しませんでしたが、『彼岸花』は「色」に手を出したことで、小津ワールドがより一層完璧なレベルで表現されています。基本的には、いつもの通り、嫁に行く行かないといった父と娘の物語なのですが、『彼岸花』では母親役の田中絹代がとってもよいアクセントになっています。
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裸の島(昭和35年)

大手映画会社のしがらみから抜け出して、自由に映画を作りたい。そんな大志を抱いて、松竹を退社した新藤兼人が中心になって設立した近代映画協会ですが、設立十年で製作資金が底を尽きてしまいます。解散することになり、最後の作品としてこの『裸の島』が作られることになりました。ところが、翌年のモスクワ国際映画祭で上映されると、世界各国から注目を浴びることになり、協会の累積赤字を解消してしまったそうです。よかったですね、ほんとに。
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眼の壁(昭和33年)

昭和32年「週刊読売」に連載された原作は、前作の「点と線」とともに松本清張ブームを巻き起こしました。監督の大庭秀雄と主演の佐田啓二は、あの『君の名は』三部作のコンビ。恋愛ドラマ風な作り方から一転して、本作はなかなかハードな出来栄えになっています。予備知識なくなんとなく見始めても、いつのまにか画面に引き込まれてしまう。佳作とまではいかないのですが、隠れた一作です。
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不道徳教育講座(昭和34年)

原作は三島由紀夫。原作とはいっても小説ではなく、週刊明星に連載された評論集。それをもとに、とある地方都市が文政省による「文教都市」認定審査に合格しようとするドタバタ喜劇にした映画です。でも思わず笑ってしまうなんて場面はほとんどなく、たまに苦笑が漏れ出る程度の喜劇と言ったところでしょうか。
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